ビルマニシキヘビの孵化個体とヒョウモントカゲモドキの成長について、文献の報告から
これは文献の報告を、当サイトの判断を加えずに引用したものです。実際の給餌については、かかりつけの獣医師や購入先の店にご相談ください。
ここで引用するのは、特定の種を対象にした少数の研究です。ほかの種に同じことが当てはまるとは書いていません。餌の量・回数・与える時期についての助言でも、必要な栄養の量を示すものでもありません。
ここで引用するのは、孵化個体や、胚から成体までの成長を測った 2 つの研究の報告です(出典2の主題は、骨の標識と年齢の見積もりの方法で、体重の記録は別の目的の実験で付随して得られたものです)。 1 つはビルマニシキヘビ(Python bivittatus)の孵化個体を 12 週間追ったもの(出典1)、 もう 1 つはヒョウモントカゲモドキ(Eublepharis macularius)の体重と四肢の骨の成長を追ったもの(出典2)です。
1. ビルマニシキヘビの孵化個体を 12 週間追った実験(出典1)
どんな個体か。米国フロリダ州の野外にいる外来個体群の、2 頭の親(野生)の巣から集めた卵 (クラッチ 1: 74 個、クラッチ 2: 62 個。以下 C1・C2)を実験室でふ化させ、 各クラッチから 30 頭ずつ、計 60 頭を無作為に選びました(C1 は 71 頭、C2 は 50 頭がふ化)。 1 頭ずつ容器で飼い、孵化後 12 週間、毎週体長(頭胴長)と体重を測っています (室温 23℃、容器の中は 27〜33℃の温度勾配)。出典1は、野外の個体について分かっていることが少ないとし、 これまでの実験研究の多くはペット取引由来の個体を使ってきた、と書いています。
餌の条件。著者らは 60 頭を 2 群に分けました。第 4 週から、約 9 g の冷凍解凍マウスを、 一方の群には毎週(12 週間で 9 匹ぶん)、もう一方の群には 3 週ごと(3 匹ぶん)提示しています(以下、それぞれ High・Low の群と呼びます)。 この間隔は、餌を食べる機会を一方で多くするために著者らが選んだもので、 野外の孵化個体がどのくらいの間隔で食べているかは分かっていない、と出典1は書いています。
結果
- 孵化後 4 週目より前に餌を出した 30 頭は、1 頭も食べませんでした。 著者らは、この間は体内の卵黄で維持されているためだろうと述べています(推定です)。 出典1はこの結果から給餌の開始時期を導いておらず、当サイトも示しません。
- 60 頭のうち 16 頭は、試験の間に出された餌を一度も食べませんでした(C1 の 4 頭、C2 の 12 頭)。 このうち C2 の雌 2 頭は、体調が特に悪かったため試験終了前に安楽死され、解析から除かれています(解析対象は 58 頭で、次の割合の分母もこの 58 頭です)。
- 出典1は、体格の違いのほとんどは餌の群や性別ではなくクラッチ(巣)で説明されると報告しています。 頭胴長の増加にはクラッチ差があり(P < 0.0001)、体重の増加は、総変化量ではクラッチ差が検出された(P = 0.0246)一方、 1 日あたりの体重の増加ではクラッチ差が検出されませんでした。
- 体格の差は、週 1 と週 12 のどちらでも、餌の群の間では検出されませんでした(すべて P > 0.4)。 ただし、実際に食べた量は群で違いました。総摂取量は High 31.4 g(標準誤差 4.2)、Low 18.0 g(4.1)(P = 0.0267)、 食べた食事の回数は 3.1 回と 1.5 回(P = 0.0066)です。出された餌を食べた割合は Low が 67%、High が 37% でした(P < 0.0001)。 この結果の読み方は、2 クラッチという小さな標本に限られると出典1の著者らは述べています。
| 12 週間の変化(クラッチごと) | クラッチ 1(C1) | クラッチ 2(C2) |
|---|---|---|
| 頭胴長の合計の増加 | 14.6 cm | 8.3 cm |
| 体重の合計の増加 | 14.8 g | 0.5 g |
| 1 日あたりの頭胴長の増加(平均) | 0.15 cm | 0.10 cm |
| 1 日あたりの体重の増加(平均) | 0.20 g | 0.03 g |
| 試験の間、餌を一度も食べなかった個体 | 4 頭 | 12 頭 |
出典1、本文と要旨(1 日あたりの平均は要旨の値)。合計の増加(最終値と初期値の差)と 1 日あたりの増加は算出法が異なり、数値は単純には対応しません。 全期間の 1 日あたりの体重の増加には、本文でクラッチ差が検出されていません(餌を出された期間だけでは検出されています)。 クラッチは 2 つだけの実験で、出典1自身が、クラッチの数を増やしても同じ効果が残るかを調べるにはさらに研究が必要かもしれない、と述べています。
- 餌を出された時期(4 週目以降)に、58 頭のうち、出されるたびに食べた個体は 31.0%、 一度だけ食べた個体は 12.1%、一度も食べなかった個体は 24.1%(14 頭。C1 は 4 頭、C2 は 10 頭)でした。上の表の「一度も食べなかった」は、安楽死した 2 頭を含む 60 頭の数(C2 は 12 頭)です。
- 第 10 週の餌への反応は、C1 の個体のほうが「大胆(bold)」な個体が多く、C2 は「臆病(shy)」または「どちらでもない」個体が多かったと報告されています (P = 0.0059。餌の群・性別では区別できませんでした)。
- 性別による体格の差は、ほとんど検出されませんでした(卵黄期の 1 日あたりの体重変化と第 5 週の頭胴長のみ、性差があったと出典1は書いています)。
2. ヒョウモントカゲモドキの体重と四肢の骨の成長(出典2)
出典2は、研究のために 1 頭ずつ別の容器で飼われたヒョウモントカゲモドキについて、体重の記録と、 蛍光色素で標識した四肢の骨の成長を調べました。卵はカリフォルニア州の業者から、幼体はカナダ・ブリティッシュコロンビア州の ブリーダーやペットショップから入手した個体です。
体重の推移
体重は、7 頭の一生を通した週ごとの記録(出典2、考察)から、次のように報告されています。
| 日齢 | 平均体重 |
|---|---|
| 孵化時 | 4.4 g |
| 300 日 | 38.2 g |
| 400 日 | 52.4 g |
| 成体の平均体重(400 日以降に成長が緩やかになる) | 60〜75 g |
出典2、Results(Weight)。研究施設での飼育記録で、標準値や目標値ではありません。餌の与え方などの条件は研究側のものです。 Results の平均値が上の 7 頭のものかは、出典に明記がありません。生後約 400 日までに体重が急速に増え、その後は緩やかになると出典2は書いています。 このうち 1 頭(LG190)は、575 日齢から 971 日齢の間に 3.5 g しか増えなかったと報告されています。 1 歳を過ぎたあとの体重の変化は、尾に脂肪を蓄える性質(出典2が引用する別の報告)によるものかもしれない、と著者らは述べています。
四肢の骨
- 胚から 4 歳までの 13 頭の、大腿骨・脛骨・腓骨・上腕骨・尺骨・橈骨を調べています。
- 成体の 6 つの骨のいずれも、断面の面積が年齢とともに有意に増えました。
- 断面積が速く増えた順は、腓骨 > 橈骨 > 尺骨 > 脛骨 > 上腕骨 > 大腿骨と報告されています (腓骨がいちばん速く、大腿骨がいちばん遅い)。
- 著者らは、四肢の骨ごとに成長の速さが違っていたとし、また、骨の成長のしかたは爬虫類のあいだで一様ではないと述べています。 上の順は、断面積の増え方の平均(1 日あたりの回帰の傾き)の順で、長さではありません。橈骨と尺骨、脛骨と上腕骨の差は小さく、出典は骨どうしの差を検定していません。
読むときの注意
- 出典1の個体は、野外の外来個体群の卵から実験室でふ化させたビルマニシキヘビです。ペットとして飼われる個体や、 ほかの種の孵化個体の成長を示すものではありません。クラッチが 2 つしかなく、クラッチ間の差も、餌の群の差が検出されなかったことも、読み取りには限界があると出典1の著者らは述べています。
- 出典1では、餌の群による体格の差が「検出されなかった」と報告されています。これは、 餌を出す間隔がどうでもよい、という意味ではありません。この実験の範囲(2 クラッチ、12 週間、この間隔の 2 群)での結果です。
- 出典2の体重・骨の記録は、研究のために飼われた少数の個体のものです(体重は 7 頭、骨は 13 頭)。 体重については、1 頭(LG190)で成長が小さかった例が報告されています。
- このページは、成長の観察結果の紹介です。
出典
- Josimovich, J.M., Falk, B.G., Grajal-Puche, A., Hanslowe, E.B., Bartoszek, I.A., Reed, R.N., ほか 1 名 (2021). Clutch may predict growth of hatchling Burmese pythons better than food availability or sex. Biology Open, 10(11), bio058739. (DOI: 10.1242/bio.058739、ライセンス: CC BY 4.0、2026-10-04 確認。 PMC8609237 を取得。Crossref の license(vor)も同じ。)
- Schlief, S.C., Richman, J.M., & Brink, K.S. (2025). Bone labeling experiments and intraskeletal growth patterns in captive leopard geckos (Eublepharis macularius). Journal of Anatomy, 247(3–4), 542–555. (DOI: 10.1111/joa.14151、ライセンス: CC BY-NC 4.0、2026-10-04 確認。 PMC12034826 を取得。オンライン公開は 2024 年、印刷版は 2025 年(Crossref)。Crossref の license(vor)は BY-NC 4.0。営利目的の再利用は許諾の範囲外のため、全文は転載せず、個別の数値を出典つきで引用している。)
上の数値・記述は出典の報告そのものであり、当サイトが測ったものではありません。